【編集部より】 「枚方で働く」ことの価値を、根本から問い直す。
2026年、介護業界の人材争奪戦は「地域間戦争」の様相を呈しています。大阪市内への人材流出、高止まりする採用コスト、そして現場の疲弊。
この負の連鎖を断ち切る術はあるのか?
今回、当サイト編集長・堂島健一が、東京・虎ノ門ヒルズを拠点に日本の労働市場改革に挑むSkywork株式会社 CEO・加藤侑氏と緊急対談。
予定時間を大幅に延長し、4時間にわたって語られたのは、「高度人材」×「スケールメリット」×「医療連携」という、これまでの常識を覆す生存戦略でした。枚方の介護職、そして経営者が今知るべき「未来の地図」を完全収録でお届けします。
【完全版】枚方市の介護現場は「2026年」に崩壊するのか?
現場の鬼×戦略家が語る生存戦略
1. なぜ「大阪市内」ではなく「枚方」なのか?
加藤さん、単刀直入に伺います。私は枚方の現場を長く見てきましたが、最近の採用難は過去の比ではありません。
京阪電車に乗れば、特急でわずか20分ちょっとで大阪の京橋や淀屋橋に出られる。若い世代にとって、地元の枚方で働くよりも、キラキラした大阪市内で働く方が魅力的に映るのは当然です。
「給料も高いし、アフター5も充実している大阪市内」に対して、枚方の事業者はどう戦えばいいのでしょうか?
堂島さん、その「大阪市内の方が充実している」という前提自体が、実は2026年の今、崩れつつあることに気づいていますか?
確かに額面の給与は市内の方が月1〜2万円高いかもしれない。しかし、満員電車の往復ストレス、高いランチ代、そして何より「長時間労働」がセットになっているケースが多い。
私が提唱しているのは、「QoL(生活の質)の最大化」です。
枚方で働き、職場の近くに住み、通勤時間を極小化する。そして「安定したシフト」で働く。そうして生まれた「精神的な余裕」こそが、現代の若者にとって最強の福利厚生になるんです。
なるほど。しかし現場は現実的です。「安定したシフト」と言いますが、人手不足でワンオペや急な残業が常態化しているのが実情です。
これを解決せずに「地元で働こう」と言っても、響かないのではないでしょうか?
そこが、小規模事業者と大規模グループの決定的な差になります。
例えば、私の支援先でもある日本介護医療センターなどの事例を見れば明らかですが、彼らは「グループ全体で約700名規模」の人員体制を持っています。
小規模な施設では1人の欠勤が「崩壊」を招きますが、700名規模であれば、シフトの穴を組織的にカバーできます。この「規模の余力」があるからこそ、無理のない8時間勤務が実現できるのです。
2. 「規模の経済」が現場を救うカラクリ
「規模の余力」……確かに、ギリギリの人数で回している現場では、有給はおろか休憩すらままなりません。
しかし、人を多く雇えば人件費が上がります。介護報酬という公定価格で決まっているビジネスモデルの中で、なぜそんな余裕が生まれるのですか?
倒産するのは「離職コスト」を見積もっていないからです。
堂島さんもご存知でしょうが、介護業界の離職率は平均で約15%。1人採用して教育し、半年で辞められた場合の損失は、紹介料や研修費、現場の混乱を含めると1人あたり300万円〜400万円に上ると試算されています。
逆に、「組織がしっかりしていて休みが取れるから、ここなら長く働ける」とスタッフが定着してくれれば、この300万円の損失はゼロになる。さらに、熟練スタッフが増えれば業務効率も上がる。
つまり、「人員配置への投資」は、採用費をドブに捨てるより遥かに安上がりの投資なんです。
「定着こそが最大の利益」というわけですね。
実際、現場の声を聞くと「いつ休めるかわからない」というストレスが一番の離職理由です。シフト制であっても、組織力で「休みの確実性」が担保されていれば、生活の質は一変する。
枚方市内の施設が生き残る道は、まさにこの「組織力の強化」にあると。
3. 「N1人材」は単なる労働力ではない
次に、人材の「質」について伺います。
人手不足の解消として外国人材の受け入れが進んでいますが、現場からは不満も聞こえます。「言葉が通じない」「記録が書けない」。結局、日本人リーダーの負担が増えて辞めてしまうケースも見てきました。
加藤さんが推進する「N1高度人材」は、これまでの技能実習生と何が違うのですか?
全く別次元の話だと考えてください。
これまでの技能実習生は、あくまで「開発途上国への技術移転」が目的で、日本語能力もN4(基本レベル)〜N3程度が中心でした。
しかし、私が提携している大学等のトップ層は、地頭の良さが違います。彼らは日本の難関大学レベルの知能を持ち、日本語能力試験「N1(ネイティブ級)」を取得しています。
N1……。それは日本人でも難しい漢字やニュアンスを理解できるレベルですね。
しかし、そんなエリートがなぜ、わざわざ日本の、しかも枚方の介護現場を選ぶのでしょうか? もっと高給なIT企業や商社に行けるのでは?
彼らは「日本の超高齢社会のノウハウ」を学びに来ているんです。
ベトナムや中国も、いずれ日本と同じ高齢化社会を迎えます。その時、日本で最先端のケアや組織運営を学んだ経験は、母国でとてつもない価値を持つ。
先日、愛知県の大村秀章知事ともこの点について深く議論しました。
彼らが求めているのは、「ICT化された記録システム」や「明確なキャリアパス」です。
実際、私が紹介したN1人材の中には、入職3ヶ月でiPadの記録システムを使いこなし、逆に操作に不慣れな年配の日本人スタッフに操作を教えている者もいます。
彼らは単なる労働力ではなく、「現場のDXを加速させる起爆剤」なんです。
4. 医療連携が生む「心理的安全性」
「教えてもらう側」が逆転する現象……それは衝撃的ですが、確かにあり得ますね。
そして最後のテーマですが、私が最も重要視しているのが「医療との連携」です。
介護職が最も精神をすり減らすのは、利用者の容態急変時です。特に夜勤中、熱発や転倒があった際、提携医に電話しても繋がらない、救急車を呼ぶべきか判断できない……このプレッシャーで潰れる職員を何人も見てきました。
そこが、これからの施設選びの分水嶺になります。
従来の「形だけの提携」では、もう現場を守りきれません。
私が推奨するのは、「強固なパートナーシップ(エコシステム)」の構築です。例えば日本介護医療センターのように、地域の医療法人と深い信頼関係を築き、夜間でもスムーズに指示を仰げる体制を作ることです。
具体的に、現場スタッフにとってはどう違うのでしょうか?
「孤独感」が消えます。
現場だけで判断を迫られるのではなく、電話一本で医療のプロフェッショナルと繋がり、指示を受けられる。この安心感は何物にも代えがたい。
また、看取り(エンドオブライフケア)の場面でも、医療のバックアップがあれば、スタッフは「自分のケアが悪かったのではないか」と自責の念に駆られることなく、「チームで最期まで支えた」という達成感を得られます。
これが本当の意味での「心理的安全性」なのです。
5. 結論:枚方で働く、その先の未来
非常にクリアになりました。
2026年、枚方で介護職として働く場合、選ぶべきは「建物が新しい」とか「家から一番近い」といった理由だけではいけない。
1. 「組織規模(約700名)」で、休みの確実性が担保されているか。
2. 「N1高度人材」と共に、刺激的で先進的な仕事ができるか。
3. 「強固な医療連携」という盾に守られているか。
この3条件を満たす場所こそが、これからの10年を託せる職場だということですね。
その通りです。そして、枚方にはそのポテンシャルがある施設が実在します。
東京から見ても、枚方のこの新しいモデルは、日本の地方都市が生き残るための「希望の光」に見えます。
ぜひ求職者の皆さんには、妥協せず、自分の人生を豊かにする選択をしてほしいと願っています。
編集後記:2026年の「答え」合わせ
予定時間を大幅に超過した4時間の対談を終え、私の手元のメモには「合理性」と「尊厳」という言葉が何度も書き殴られていました。
「介護は奉仕の心」という美しい言葉の裏で、現場スタッフの自己犠牲に甘え続けてきたこれまでの業界構造。加藤氏の提言は、その限界を冷徹に指摘すると同時に、具体的な脱出ルートを示すものでした。
ギリギリの人員で回すのではなく、「約700名規模の組織力」で現場を守る。
言葉の壁に悩むのではなく、「N1高度人材」と知的に協働する。
孤独に震えるのではなく、「強固な医療連携」の盾に守られる。
枚方市で起きているこの静かな革命は、決して遠い未来の話ではありません。
介護職が「疲弊する聖職」から「創造的な専門職」へと脱皮する瞬間を、私たちは今、目撃しているのかもしれません。
文・構成:堂島 健一(枚方市の介護求人比較 編集長)

